【剖検・病理検査】ラト丸の死因について
どうもちゃそ(@chaso_vet)です
⚠⚠⚠本日は死体や臓器の画像等ショッキングなものもあります⚠⚠⚠
⚠⚠⚠苦手な方はご遠慮くださいませ⚠⚠⚠
またかなり専門的な話が多くなると思います、ご了承ください(。-人-。)
ラト丸の死因
本日はラト丸の死因、病理検査結果についてお話します
ラト丸は安楽死後、わたしが解剖し、肺や気管のぬぐい液を細菌培養同定検査に出し、与えていた薬が有効だったかどうかを確認しました
また臓器を一部取り出して病理検査に外注し、死因を特定しました
ラト丸の死因は リンパ腫 によるものでした
また気管支に細菌感染による膿瘍がありました
解剖所見
呼吸状態から肺が原因であることは明確でした
まずは腹部から観察しそのあと胸部へ
肺がボコボコしていて正常な部分がほぼありません
取り出した肺と心臓、心臓がちぃちゃい!血液が入ってないからかな
細菌培養同定検査
お薬を幾度となく変更し、頑張って飲んでいたラト丸
しかし状態はあまり良くならない
はたしてその薬は本当に効いていたのか?!
その答え合わせです
まず検出されたのは
1. Enterococcus 腸球菌
2. Enterobacter clolae
簡単にいうと、Sが効くお薬、Rは効かないお薬です
いろいろと抗生剤を変更するとこのように耐性ができてしまいます
本当は抗生剤を飲む前にやっておきたい検査ですが
ラト丸の場合は解剖したあと気管を切開してその粘液を検査に出しました
犬や猫なら気管支鏡というものがあり、気管支に水を入れて回収してこの検査に出したりします
ラト丸の場合はラットですから生きているときにこの検査はできません
鼻水が出ている子ならその鼻水を検査に出したりしますが、鼻に常にいる菌や外にいてたまたま鼻にいてた菌(つまり感染していない菌)がひっかかったりするので不確実な結果となることもあります
そして、答え合わせ!ほとんどの抗生剤は効かないですが
ドキシサイクリン がビンゴでしたね
これは効いていたということです
病理検査
B細胞リンパ腫
摂南大学の病理学研究室に検査を依頼しております
要約すると肺のほとんどが腫瘍に侵されていますよ
正常な部分は腫瘍に押されてうっ血したり、浮腫んだりしてますよ
右の肺は感染が起こっていて、膿がたまっていますよ ということです
膿の正体はさっきの細菌培養同定検査で何者かはわかっていますね
リンパ腫とは
ラトちゃんの直接的な死因はリンパ腫
要するにがんです
「リンパ腫」とは白血球の一種であるリンパ球ががん化したもので、リンパ系組織(リンパ節や扁桃、脾臓など)から発生します
リンパ系組織は体中にあるため、病変(しこり)は体の様々な場所にできちゃう
骨髄でリンパ球が腫瘍化した場合、白血病といわれます
なにを言ってるかわからないと思いますがわたしにもわかりません、難しいですよね
リンパ球は体中をめぐっているので、転移してしまうタイプの腫瘍になります
腫瘍自体をとってもダメということですね
リンパ球にはB細胞、T細胞などの分類があり、その中でもB細胞リンパ球が腫瘍化してしまったということです
二種類だけじゃなくてそこからさらに細分化されていて、ヒトのリンパ腫ではここからさらに70種類以上に分類されるとか・・・
どうしたらもう少し生きられたか
無茶苦茶なことを言うと、肺のFNA(針で突いて細胞をとる検査)を行いリンパ腫を見つけられたら
抗がん剤治療ができたかなと思います
使える抗がん剤は限られていますがL-アスパラキナーゼなどの注射が適応だったのかなと思っています
しかし実際問題、肺のFNAはなかなか行うことができないです
ちゃんと腫瘍であるところ、つまり空気がはいってないところをエコーで確認して突くのはサイズ的にもめちゃめちゃむずかしいです
(普通にやってる病院さんがあったらすみません、わたしにはなかなかできないです)
CTをとって、確実に腫瘍だ!というところをみつけて
それが針の届く位置にあって、針がさせるサイズだということが分かれば可能かも
だから、結果としてこんな感じで内服投与するしかなかったかなぁなんて
リンパ腫とは思いもしませんでした・・・(これはただの勉強不足かも)
といったかたちでラト丸の死因、解剖などのご報告とさせていただきます。
専門的なわりにペラペラな内容ですみません
ここまで読んでいただきありがとうございました
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